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サンフレッチェとサッカーに染まった日々

第8回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く

今回は全体の補足をしていく回になります。
あんまり面白いものにはならないので、さくさくっといきましょう。

MOKUJI

第1回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第2回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第3回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第4回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第5回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第6回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第7回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第8回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第9回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く

 




[Ⅰ]クラブライセンス決定会議
1つ目は、クラブライセンス決定会議(以下、「決定会議」という。)に関する規定。
範囲は交付規則第25条及び第27条。

クラブライセンス決定会議とは、コアプロセス(=ライセンス申請手続)の1つ。
これには2種類存在し、FIBによるものとABによるものがあります

第 25 条〔ライセンス申請書類の審査〕

(6) CLAは、調査終了後、FIBによるクラブライセンス決定会議を開催する。FIBは、ライセンス申請者に対するJライセンス交付の可否および制裁の有無・内容について決定する。FIBは、ライセンス申請者に対し、申請内容に関する事実関係を明らかにする目的で別途ヒアリング調査を行い、また、追加資料の提出を命じることができる。


こちらはFIBによる決定会議。
クラブライセンスにおける第1審みたいなものですね。

第 27 条〔上訴〕

(3) CLAは、審問期日終了後、ABによるクラブライセンス決定会議を開催する。ABは、ライセンス申請者に対するJライセンス交付の可否、制裁の有無・内容について、上訴申立受理日から 30 日以内に決定する。なお、ABの決定は、FIBの決定より上訴人に不利益なものであってはならない。ただし、LMとライセンス申請者またはライセンシーの双方が上訴している場合はこの限りでない。

(4) ABによるクラブライセンス決定会議では、FIBによる決定のみを審査対象とし、審査は、上訴申立時までにFIBまたはABに提出されたライセンス申請書類(上訴申立書およびそれと同時に提出された証拠を含む)およびFIB決定書ならびにFIBおよびABの審問期日において顕れた一切の記録のみに基づいて行われる。


上訴については第4回でも交付規則第27条の一部に触れています
こちらはクラブライセンスにおける控訴審のようなもの。

交付規則第27条第4項にあるように、あくまでもFIBの決定についてのみが審査対象です。

FIBの決定会議とABの決定会議はコアプロセスの肝。
この2つの会議で運命が分かれるクラブも今後出てくるかもしれません。




[Ⅱ]各種基準の運用細則上の注意点
各種基準については交付規則を中心に見ていきました。
しかし、財務基準のように運用細則の方で定められている大事な点もあります。
そこを簡単に取り上げていきましょう。

S.01 承認されたアカデミープログラム

3.判定
(1) ライセンス申請者がJクラブである場合、Jリーグは、前条の審査に合格したライセンス申請者に対し、原則として 6 月 30日までに「アカデミー認定」を行い、その後、アカデミー支援金を交付する。当該アカデミー認定をもってライセンス申請者は基準 S.01 を満たすものとする。ライセンス申請者がJリーグ準加盟クラブである場合も同様に、前条の審査に基づいて判定を行うが、アカデミー支援金は交付されない。


まず1個目は、競技基準。
ここにある「アカデミー支援金」というものが従来あったものかちょっと不明です。
ないとは思いますが、もしかしたら新しい規定なのかも。

(注記)
Jリーグ配分金の内訳は、賞金、商品化権料、放送権料、公式試合出場料となっている。
このため、配分金にアカデミー支援金が含まれているとは考えにくい。


I.09 トレーニング施設

4.基準 I.09 に関するその他の遵守事項および注意事項
(1) 基準 I.09 にいうトレーニング施設のピッチには、夜間照明が設置されていることが望ましい。
I.10 アカデミーのトレーニング施設

4.基準 I.10 に関するその他の遵守事項および注意事項
(1) 基準 I.10 にいうトレーニング施設には、夜間練習が可能なよう、照明が設置されたピッチが設けられていなければならない。


続いて施設基準からトレーニング施設の規定。
なぜか、トップチームとアカデミーでは違いが出ています。
しかも、アカデミーのトレーニング施設の方が「ならない」規定と厳しいもの。

これは、おそらくアカデミーに所属している子供は昼間学校があるため、夜間に練習することが多いのではないかという配慮から作られたのかと推測できます。
ちなみにこれらはA等級なので必須要件です。

P.04 運営担当(オペレーションオフィサー)

4.基準 P.04 に関するその他の遵守事項および注意事項
(4) 運営担当(オペレーションオフィサー)は、基準 P.05 のセキュリティ担当と兼務できる。


最後は人事体制・組織運営基準から運営担当に関する規定。
当然逆(セキュリティ担当)の方にも書かれています。

他の担当では認められていませんが、この2つは業務内容が重なる部分があるからだと推察。
当然、資格や実務経験はそれぞれ必要ですが。




[Ⅲ]交付規則とAFC規則等との関係
交付規則は、第2回でも一部紹介した2010年に公開されたAFCの「AFC Club Licensing Regulations」をもとにしている節があります(全部は読んでないけど多分そう)。
最後にその辺りを簡単に見ていくことにしましょう。

第 29 条〔AFCクラブ競技会への出場資格の承認〕

(1) Jライセンスを交付されたクラブは、国内競技会の結果、AFCクラブ競技会への出場資格を得ることを条件として、AFCライセンスを交付されたものとみなされる。


例えばこんな感じ。
交付規則第7章は「AFCクラブ競技会への出場資格」となっています。
このAFCクラブ競技会とは、ACLなどの大会のこと。

別紙1

「AFCクラブ競技会」とは、AFCチャンピオンズリーグ、AFCカップおよびAFCプレジデンツカップの総称を意味する。


恥ずかしながら「AFCカップ」と「AFCプレジデンツカップ」の存在はよく知りませんでした。
各国のレベルに応じて出れる大会が違うようですが、本題から外れるのでこの辺で。

第 2 条 〔AFC規則との関係〕

(1) 本交付規則は、AFC規則の定めに従って、Jライセンスのみならず、AFCチャンピオンズリーグの出場資格(以下「AFCライセンス」という。)に関しても必要な事項を定めるものである。この関係において、本交付規則は、AFC規則に規定されるAFCライセンスの各基準およびライセンス交付プロセスにおける必須要件を全て規定する。


今更感のある交付規則第2条。
このように、JリーグのライセンスはAFCのものと同等か厳しめになっていると予想されます。
まぁ、逆はあり得ないので当たり前と言えば当たり前ですが。




以上、全体の補足回でした。
意外と重要な点があったのですが、編集中に気づかなかったのでこんな形でご紹介。
対して、用語解説はざっくりとやったと思うのでカットの方向で。

次回=最終回はクラブライセンス制度の全体総括をやって〆たいと思います。
それではまた来週。