la vie en violette

サンフレッチェとサッカーに染まった日々

サンフレッチェ広島 2018年通信簿(その二) スポンサー編

今さらですが、今回の通信簿ではクラブの収益源に着目してまとめています。
通信簿その一では成績に絡めて賞金についても少しだけ触れました。


awayisum.hateblo.jp


次回の通信簿その三は入場料収入にスポットを当てて集客対策等について確認。
通信簿その四ではグッズ売上を大きめに取り上げていくつもりです。


というわけで通信簿その二では広告料に着目しスポンサーとの関係について振り返ります。
それでは早速広告料収入の推移からチェックしていきましょう。



[Ⅰ]広告料収入

Jクラブの収益構造を説明する際に、収益3本柱というものがあります*1
その収益3本柱の中でも最も重要な柱が広告料収入(スポンサー収入)。

それは近年の収益構造を見て貰えれば一目瞭然です。


https://lh3.googleusercontent.com/aVCjAVQGviucpGnIAZkoDgOKPaqTiQXiM3_VpjllJWgkbPR8h2nG6PafIYxGL3Hj2N2T0G8sN5GYsnvT0zuT7m_U5LiAHwx05dIMGB0F5pItr-UzovLVZFORxb5IX96W5CBfvoPulw=w920-h690-no


このように広告料収入は低い時期でも営業収益の4割以上を占めている存在。
近年は広告料収入割合が減少傾向にありますが、これは成績向上による賞金のせい。

金額ベースで見れば近年は安定して15億円前後を拠出して頂いているのが現状です。
スポンサーとの関わり方がクラブにとって最重要であることは言うまでもありません。

[Ⅱ]ユニフォームスポンサー

さて、広告料収入というのも3種類に大別することができます。

すなわちユニフォーム広告スタジアム広告その他広告の3つ。
特に掲載箇所に限りのあるユニフォーム広告はできる限り埋めることが重要になるはずです。


ところで、昨年も書きましたが2018年シーズンから鎖骨スポンサーが解禁されています。


awayisum.hateblo.jp


2018年シーズンは間に合いませんでしたが、2019年シーズンから片側が埋まりました。
鎖骨スポンサーに決まったのは中国家電大手のハイセンスジャパン株式会社(海信)。



シャルケのスポンサーの他、ロシアW杯の公式スポンサーも務めた企業*2
4K放送が始まった日本においてシェアを拡大しているという報道もありました*3

右側のみとはいえ、なんとかお願いすることができて良かったですね。
すぐにとはいかないかもしれませんが、将来的には左鎖骨スポンサーも埋めたいところ。


https://lh3.googleusercontent.com/3GxIPxucvLsu9PSUAh0v5LjwjSNSf4iVkiC4ryDsNT7lVePqxVQOdVvY4HsYOaZIblOYbQC_joOOMPSnDHWZKQjHnIw9m48dacgTf0N1PDc1pjnZ5vgsFqpa0cGKrg6sDMVr-a0DPw=w960-h720-no


そう思って他チームの状況を調べてみたら鎖骨スポンサーはJ1クラブでも苦戦している様子。
片側を埋めただけでも褒めなければならないのかもしれません。


ただ、報道によると鎖骨広告の相場は1.5億円~2億円程度だとされています*4
収入としては大変大きいので頑張って欲しいところ。

余談ですが、広島、湘南、札幌と右側が先に売れているのは見え方の問題なのでしょうか?



[Ⅲ]スポンサー交流

2018年から少し変わった印象を受けるのがスポンサー企業との交流です。
これまでも実施されていたのかもしれませんが、去年からアピールが増えた印象。




話題にできるようになった最大の理由は森崎浩司アンバサダーでしょう。
引退してもなおクラブに最も足りてないポジションを埋めてくれるとは…。


youtu.be


アンバサダーによるアンデルセンの宣伝動画も今までとは一風変わっていました。
サンチェがスタグル大使として活動していた企画の発展版的な*5


もちろんサンチェ・フレッチェも頑張っていたようです。


www.facebook.com


その他のスポンサー主催イベントで面白かったのはそごう広島店のサッカーボールアート展
そして、やしまグループによる着物ファッションショーに若手選手が出演したもの。




スポンサー主催のイベント参加も大事なお仕事です。

[Ⅳ]コラボ企画

コラボ企画と言っていいのか微妙ですが自動販売機デザインのリニューアルがありました。

9月にTwitter上で自動販売機のリニューアル投票を実施*6
SNS上の投票機能を活用するというのは広告も兼ねているのでグッドですね。



候補とされたのはエンブレムデザイン案とマスコットデザイン案の2つ。
結果はかなりの僅差でしたがマスコットデザイン案になったようです*7

ちなみに以前のデザインはこちら。



正面はあまり変わらないかもしれませんが横の印象は改善されたのではないでしょうか。


また、プローバとのコラボで、ピノキッズ吉田 ピノッチェがオープンしました。
キッズスペースとの相性は悪くないと思うので今後も増えたら嬉しいですね。


https://lh3.googleusercontent.com/8IFnaQtF7W0yJjUQGvw1KaDfxq4AjvgMbsAILF2ui3p8rowO-Ar9jGnAEIcFqNhRjfJaGGlnusj4KO5Ay2rMbPyB_n3onMD4_BROVQF9P9m57MopWHzc47EsyCrV-NHBM6C9eLMDog=w600-h848-no
サンフレッチェ広島より》


株式会社タカキベーカリーのスポンサードゲームでおなじみミルクフランス。
サンフレッチェデザインのそれがついに市販されることになりました。


https://lh3.googleusercontent.com/k_v1iH3rK3yrtkq_6rgjs8lkNyvUi1TFuTn2FdWTSySTHh3FKcjjbJBhu-PSj1ZwcN_wn-SA_Bmj1FDHwAv1mU5sO8mVpUclmYwvnSejFXaP8bbyuVR4DxpLHuCtMud_1QwHVTKuTA=w700-h206-no
サンフレッチェ広島より》


是非とも2019年も販売して欲しいのですが、どうなりますでしょうか。



[Ⅴ]アジア戦略

2018年シーズンを語る上で欠かすことのできないポイントの一つがアジア戦略です。

アジア戦略とは、主に東南アジアに対してJリーグの市場を広げていく取り組みのこと。
この取り組み自体は2012年頃からスタートしており、札幌がその中心的存在*8


www.jleague.jp


このようにJリーグ全体でアジア展開を模索しているところです。
ただ、この話をすると長くなるので広島の話に戻りましょう*9


広島と東南アジアの関わりがスタートしたのは2017年のプレシーズンキャンプからですが*10、本格的なものはティーラシンの獲得に成功した2018年からと言っていいでしょう*11

「タイの英雄」と呼ばれるティーラシンの獲得は広島のアジア戦略を大きく後押ししました。

絶好調・J1広島の森脇事業開発担当部長に訊く「広島のアジア戦略」
《VICTORY 2018年4月11日付》


具体的な人数はここでは申し上げられませんが、2月24日の開幕戦(札幌戦)ではスタジアムで100人以上のタイ人の方々をお見かけしました。タイ国内からティーラシン選手の勇姿を見に来た方もおられるでしょうし、留学生の方もおられたと思います。


このようにタイの国旗を掲げるグループをエディオンスタジアムで何度も見かけましたし、タイ国観光庁がスポンサードしてブース設置もしてくれていました。



www.thailandtravel.or.jp


また、メディアの注目も見逃せません。


FWティーラシンに「いいね」殺到!広島に来たタイ人番記者の凄い密着度。
《Number Web 2018年3月29日付》


現地の反応は大きく、ティーラシンが活躍したときは特に顕著だという。3月14日の夜、ルヴァンカップ名古屋グランパス戦でティーラシンが来日2得点目をマークしたときは、速報をアップしたフェイスブックに、翌日昼までに約1万7500の「いいね!」がついた。


まさにティーラシン・フィーバーが巻き起こった1年でした。


こうしてみると「たまたま」ティーラシンの獲得に成功したから生まれたように思えますが、広島にはもう一つ強みがありました。それが主要スポンサー・マツダの影響力

実際、サンフレッチェにとってアジア戦略のキーマンとなったティーラシンの獲得にあたって、マツダ出身の取締役・奥江敬三氏が交渉に関わっていたようです。


www.calciomatome.net


また、マツダセールスタイランドなどがあることもあって表敬訪問も数多くありました*12


www.facebook.com
www.facebook.com


こうした活動・報道を通してタイでの知名度は随分向上したのではないかと思います。


ただ、残念ながら広島のアジア戦略は2018年末に暗礁に乗り上げることになりました。
所属元のムアントンとの交渉が折り合わずティーラシンが退団することになったためです*13


広島が本格的にアジア戦略をどう推進していくかを考え始めたのは2017年11月頃のこと*14
獲得濃厚になった段階でスタートしたので、ティーラシンありきだったことは否めません。

ただ、その中でもタイ語版Facebookを開設するなどクラブとしての取り組みも試行錯誤していたところだっただけに、契約延長できなかったのは痛恨でしょう。


今後のアジア戦略に対してクラブとしてどう考えていくのか。
それは看板となるティーラシンを失った2019年以降に評価するべきものなのかもしれません。



[Ⅴ]まとめ

その二ではスポンサーに着目して2018年を振り返ってきました。
目に見えて広告料収入が増加していない限りなかなか評価するのが難しい項目だと思います。

そうは言っても2019年から鎖骨スポンサーを迎えられたのは大きな実績でしょう。
また、スポンサーとの関係性のアピールも徐々に改善されているように感じます。


他方で、以前サポーターズカンファレンスでこのようなことが指摘されていました。

第12回サポーターズ・カンファレンス議事録
サンフレッチェ広島 2014年1月18日開催》


質問
サンフレッチェのホームページなどでスポンサーさんが増えた時にもう少し分かりやすくプレスリリースなどをやっていただければと思います。サポーターとしてもその企業さんの商品に興味が出たり、より感謝の気持ちなども沸くと思うので、是非やっていただきたいです。


(中略)


回答(小谷野社長)
ホームページのスポンサーの更新についてですが、リアルタイム化というのは我々も実は考えており、今シーズンから実施に移していきたいと思います。


この回答からもう5年が経ちますが未だにスポンサーの情報は表に出てきません*15


この方面で最も優れた情報発信をしているのは清水エスパルス
既存のスポンサーに対して「増額」表示をしている点が素晴らしい。

https://lh3.googleusercontent.com/7ak054vTRynC_Tqdvh1VKr7AsY12Gp3lrJsnwgvEvFGB3r3g4WZvxfAz9sIULnnH6DKSNljNdqdYxiSD6OkMHz1GTbW7-K9UqU1AdcsmNQ65LwJZ9T_1aZ5lHzwKcOgSm7cE1vUanw=w549-h750-no
清水エスパルスより》


この他にも東京ヴェルディも情報発信が進んでいます。

スポンサー企業の名前がSNS等で拡散されることによる広告効果もあるはず。
是非ともサンフレッチェ広島もこういった取り組みをするべきだと考えます。


というようなことを総合勘案して2018年シーズンの評価はこちらです。


https://lh3.googleusercontent.com/hBxLiyyhDrVRmu82mFU4LdslfUzz9l138X2Yf5fyo4DFyHaJgvKmKtII5rIaUYXrPV9miBghYjFHpgvEI3TKqL0sr4kw6xho6ZIqD-Noh095UgpJ0b91vpa8tNfglsFNcVpZY2eMVA=s777-no


2019年もスポンサー企業の方々、よろしくお願いします。



*1:広告料収入、入場料収入、Jリーグ配分金(他競技における放映権料に当たる)のこと。近年はグッズ販売が随分と緩和されつつあるため、配分金ではなく物販収入だとする指摘もある。Jクラブ経営を支える“3本柱” サポーターも知っておくべき収益構造の基礎知識サッカーキング 2017年9月11日付》。

*2:ハイセンスが2018年FIFAワールドカップの公式スポンサーに共同通信PRワイヤー 2017年4月6日付》、サッカー界に進出したチャイナ・マネー、世界で躍進する中国系大企業10選サッカーキング 2017年12月11日付》、(アングル:ロシアW杯で目立つ中国スポンサー、自国開催も視野《ロイター 2018年7月7日付》。

*3:4Kテレビ放送が始まった日本で中国ハイセンスの販売が大幅増―中国メディア《レコードチャイナ 2018年12月6日付》。

*4:Jリーグで来季から“鎖骨スポンサー”導入 クラブは大幅増収も《スポーツ報知 2017年10月25日付》、【鹿島】J1初の“鎖骨スポンサー”獲得 メルカリと契約《スポーツ報知 2017年12月25日付》。

*5:スタグル大使が行く!(港鉄板一家こうさか)サンフレッチェ広島Facebook 2015年2月18日付》。

*6:サンフレッチェ広島「支援自動販売機」新デザイン投票について!!サンフレッチェ広島 2018年9月23日付》。

*7:サンフレッチェ広島「支援自動販売機」新デザイン決定!!新規設置キャンペーンについて!!サンフレッチェ広島 2018年10月10日付》。

*8:2013年 アジア戦略とレ・コン・ビン<前編> シリーズ 証言でつづる「Jリーグ25周年」スポーツナビ 2017年10月27日付》、2013年 アジア戦略とレ・コン・ビン<後編> シリーズ 証言でつづる「Jリーグ25周年」スポーツナビ 2017年10月28日付》。

*9:Jリーグのアジア戦略に関する参考文献を列挙しておく。Jリーグアジア展開の「今」/アジア各国でのJクラブの活動に迫るサッカーキング 2015年7月21日付》、アジアと「共に成長する」モデルを掲げるJリーグ(前編)《スポーツブル (スポブル) 2016年3月28日付》、アジアと「共に成長する」モデルを掲げるJリーグ(後編)《スポーツブル (スポブル) 2016年3月28日付》、チャナティップの活躍が、すべてを変えた。Jリーグのアジア戦略に迫る《VICTORY 2018年3月17日付》、Jリーグが狙う「アジアのプレミアリーグ化」の勝算《ダイヤモンド・オンライン 2018年10月28日付》、日の目を見る、Jリーグのアジア戦略「サッカーに投資すれば、日本企業の進出もうまくいく」【Jリーグマーケティング山下修作】《 | Agenda note (アジェンダノート) 2018年11月19日付》、Jリーグ アジア戦略 仕掛け人の仕事術「新しい出会いは毎月100人以上、個人でメルマガも発行」【Jリーグマーケティング 山下修作】《Agenda note (アジェンダノート) 2018年11月21日付》、チャナティップの大活躍が示す「アジア戦略」の確かな成果。今後はタイに続く国の発掘も?サッカーダイジェストWeb 2018年12月8日付》、Jリーグの「アジア戦略」からみる、スポーツビジネスの可能性《WAO 2019年1月付》。

*10:サンフレッチェ広島 2017トレーニングキャンプ(2次)のご案内サンフレッチェ広島 2017年1月19日付》。

*11:ティーラシン選手(ムアントン・ユナイテッドFC)期限付き移籍加入合意のお知らせサンフレッチェ広島 2017年12月20日付》。

*12:【MAZDA】アジア・大洋州での活動|地域別の活動マツダ 2019年1月23日閲覧》。

*13:ティーラシンは退団 サンフレ中国新聞 2018年12月31日9面》。

*14:絶好調・J1広島の森脇事業開発担当部長に訊く「広島のアジア戦略」《VICTORY 2018年4月11日付》。

*15:ただしユニフォームスポンサーなど大口のものを除く。2018サンフレッチェ広島 新ユニフォーム決定のお知らせサンフレッチェ広島 2018年1月11日付》。