サンフレッチェ広島 2017年通信簿(その四) ~クラブ(人)は変わっていくものだろ~
通信簿その四のテーマはグッズ販売とイベント企画・広報。
前半でグッズ販売について述べ、後半で企画広報について触れたいと思います。
[Ⅰ]グッズ販売…【良くできました】
それでは前半のテーマ=グッズ販売についてみていきましょう。
Jリーグは、2005年から継続してJクラブ個別経営情報開示資料を開示しています。
その内容も毎年詳細化しており、2016年度分から物販収入が表示されるようになりました。
このように、サンフレッチェ広島の物販収入は全53クラブ中5位と大健闘しています。
ただし、2016年度の物販収入には前年の優勝の影響が出ていることには留意が必要。
それでも、ここ数年の物販収入の伸び方は非常に好調という話ですので、2017年度も3~4億円は売上を確保できているのではないかと推察されます*1。
このように、グッズ販売はサンフレッチェ広島を支える収益基盤になりつつあります。
さて、2017年の大きな変化としてオフィシャルショップV-Pointの移転がありました*2。
移転する理由はそれまで営業していたエディオン本店が建て替えられるため。
新しい店舗は地下街シャレオ東通りの中央広場寄り。
エディオン本店本店で営業するよりも一般の方も入りやすくなりました。
そのためか、店内の装いもアパレル系になっているような気がします。
一方でエディオン8階で営業していた頃よりも賃料が上がることはまず間違いないでしょう。
2017年度分のグッズ販売に係る利益率が下がってしまう可能性は否めません。
そこは広告効果を加味しながら検証していただきたいと思います。
さて、2017年も面白いグッズがありましたので、数点に絞ってご紹介しておきます。
まず、「G-SHOCK サンフレッチェ広島 25周年モデル」*3。
G-SHOCKは2015年にも1000個限定で販売され、転売が起きるほどの人気商品でした*4。
当時は黒が基調となっていましたが今回は白になりモデルも変更。
販売数も強気の1500個となったためまだ在庫はありますよ。
http://e-vpoint.sanfrecce.co.jp/fs/hiroshima/casio_sanfrecce/4101702000e-vpoint.sanfrecce.co.jp
後半で紹介しますが、サンチェさんがマスコット総選挙で1位に返り咲きました。
それを記念して販売したサンチェカレンダーは1000部と前年の4倍*5。
かなり使い勝手がいいと評判でしたので増刷されたようです。
《サンフレッチェ広島より》
2017年は、商品の販売数が前回発売時よりも多くなっているケースが散見されました。
グッズ販売が順調だから起こるポジティブなサイクルですから継続して欲しいところ。
在庫が出るラインと機会損失を出すラインの見極めはどんなお店でも難しいものですが、ユニフォームの販売と合わせて頑張っていただきたいと思います。
《サンフレッチェ広島より》
これらの他にはその二で紹介したサンチェマンホールに因んだグッズも展開されました*6。
こういう特徴的なグッズがもっともっと出てきて欲しいですね。
http://e-vpoint.sanfrecce.co.jp/fs/hiroshima/4031701100e-vpoint.sanfrecce.co.jp
[Ⅱ]企画広報…【もう少し頑張りましょう】
例年高評価を付けている企画広報ですが今年は少し評価を落としました。
全体的には頑張っているのですが、いくつか気になる課題があったからです。
それでは3項目に分けて2017年の企画広報を振り返っていきましょう。
①2017年の変化=企画・広報全般
2017年からにぎわいステージのパフォーマーを募集するようになりました*7。
それまではクラブ主導でパフォーマーを招致していましたがここにもテコ入れ。
募集の背景は分かりませんが、飲食店に続いておまつり広場の改革が進んでいるようです*8。
また、ファン感謝デーが5年ぶりに屋外イベントになりました*9。
せっかくなので遡れる遡れるだけ過去のファン感謝デーを遡ってみました。
年度 | 日付 | 会場 | 備考 | URL |
---|---|---|---|---|
2003年 | 11月24日(月・祝) | NTTクレドホール | ◆ | |
2004年 | 12月5日(日) | 広島グリーンアリーナ | ◆ | |
2005年 | 8月13日(土) | 広島広域公園陸上競技場 | ◆ | |
2006年 | 12月3日(日) | 広島県立総合グランド | ◆ | |
2007年 | 実施せず | |||
2008年 | 10月5日(日) | 広島広域公園第二球技場 | ◆ | |
2009年 | 8月2日(日) | マツダ体育館 | ◆ | |
2010年 | 6月5日(土) | 広島広域公園第二球技場 | ◆ | |
2011年 | 9月3日(土) | 広島広域公園第一球技場 | 台風接近により中止 | ◆ |
2012年 | 10月14日(日) | 吉田サッカー公園 | ◆ | |
2013年 | 7月21日(日) | 広島国際会議場 | Ustream配信あり | ◆ |
2014年 | 2月9日(日) | 上野学園ホール | Ustream配信あり | ◆ |
2015年 | 1月24日(土) | 広島国際会議場 | Ustream配信あり | ◆ |
2016年 | 11月13日(日) | アステールプラザ | Ustream配信あり | ◆ |
2017年 | 7月17日(月・祝) | 広島広域公園第一球技場 | ◆ |
このように、近年は㈱ベアフットの協力で屋外イベントにシフトしていました。
屋内でのイベントは天候を気にしなくていいのとUstream配信できることが強み。
他方で、キャパシティには限界があり、子連れでの参加が微妙なのが弱みでしょうか。
せっかくサッカーというツールがあるのですから外で身体を動かした方が楽しそうですしね。
2017年のファン感謝デーは監督交代直後だったので、いい切替になったかもしれません。
SNSを用いた広報活動についても1点変化がありました。
サンフレッチェ広島はSNSとしてTwitter、Facebook、LINE、Instagramを活用しています。
そして、画期的だったのは2017年シーズンからFacebookライブを導入したこと*10。
Facebookライブとは、いわゆるストリーミング放送のFacebook版という認識で十分です。
クラブは森﨑浩司氏などの試合前解説やおまつり広場の賑わいレポートを放送していました。
新しい広報ツールとして今後の活用も楽しみにしています。
②森崎浩司アンバサダー
2017年の広報活動を語る上でこの人を欠く訳にはいきません。
2016年シーズンをもって引退した森﨑浩司氏がクラブ史上初のアンバサダーに就任しました。
ツイッター始めました! これからいろんな情報を発信していきますので、楽しみにしてくださいね(^^) #はじめてのツイート pic.twitter.com/yjZ2nlwVYS
— 森﨑浩司【サンフレッチェ広島】 (@KojiMorisaki77) 2017年2月14日
森﨑浩司氏はツイッターアカウントも開設し、積極的な情報発信を開始。
選手のオフショットを公開したり、様々なイベントに積極的に参加しました。
アンバサダー就任1年目にもかかわらずチーム状況は最悪。
そんな中でもファン・サポーターが苦しいとき一緒に悩んでくれました。
また、ツイッターなどを通して呼び掛ける姿は非常に頼もしかったです。
今家でぼぅーっとしてますけど、いろんな思いが交錯しています。なかなか現実を受け入れにくい状況でいます❕そして怒りが込み上げてきてこの怒りをどこにぶつけたらいいのかというような気持ちです‼️大好きなクラブがどうしてここまで苦しまないといけないのかという思いでいっぱいです😖
— 森﨑浩司【サンフレッチェ広島】 (@KojiMorisaki77) 2017年10月21日
今日は残留できてほんと良かったです😊僕もそうですが皆さんもホッとしていると思います😃今シーズンはチームとして非常に苦しいシーズンになりましたね💦来シーズンに向けてはここからが新たなスタートだと思いますんで、しっかりと分析して来期に向かっていかなければならないなと思います。
— 森﨑浩司【サンフレッチェ広島】 (@KojiMorisaki77) 2017年11月26日
森﨑浩司氏はアンバサダーとしてこれ以上ないほど活躍されたと思います。
一方で気になるのは、森﨑浩司氏にあまりにも負担がかかっていないかという点。
クラブに足りてなかった広告塔的存在が表れたことで色々な仕事を任せるのは分かります。
ただ、チームがそうであったように広告も属人的なものであっていいのでしょうか。
後述するサンチェさんの話と合わせて少し見つめ直した方がいいように思います。
もちろん、いきなり1年目から改善できるとは思っていません。
ただ、今後の課題として認識した方がいいのではないかと考えます。
③オフィシャルマスコット・サンチェさん
前述したように、サンチェさんはシーズン前のマスコット総選挙で1位を獲得*11。
2015年以来2度目となるセンター返り咲きとなりました。
《Jリーグ公式Twitterより》
また、堂島孝平さんに作曲を依頼したサンチェたいそうも完成*12。
さらに、サンチェたいそうを引っ提げて第2回でも紹介したサンチェキャラバンも実施。
この他にも安佐南区民まつりや経済大学の興動祭へ参加するなど精力的に活動しました*13。
整形前では考えられないくらい引っ張りだことなっています。
一方で、9月30日以降サンチェさんのTwitterの更新が停止しています。
もっというと7月以降の更新は3ツイートのみでした。
きょうは たっくさんのひとに おうえんに きてもらえました☆
— サンチェ【サンフレッチェ広島】/かいまくせんは2/27 (@sancce_jr) 2017年9月30日
みんなありがとう┏○))
これからさきも きびしいたたかいがつづくから、きょうみたいに たくさんのせいえんと てびょうしがひつようなんだฅ(•̀㉨•́ )ฅ
つぎも おうえん、よろしくおねがいします! pic.twitter.com/zQruEeQRqy
成績が悪いため更新内容に気を遣っているうちに更新できなくなったのか、純粋にそこにリソースが割けなくなったのかは我々には分かりません。
ただ、小谷野元社長のもと1つの財産と言えるほど成長したコンテンツを手放すのはおかしい。
それに、なんのためにマスコット総選挙で頑張ったのだと言いたくもなります。
その分のリソースが森﨑浩司氏の方に向けられている印象があるのです。
もう少しバランスというか配分を考えてTwitterを運用できないでしょうか。
2018年シーズンが始まるまでに再開してくれると嬉しいです。
[Ⅲ]まとめ
今回も長くなりましたが、実はグッズ販売の画像が縦に長いことが最大の原因です。
企画広報についても、他に紹介したい活動は山ほどありましたが断念。
2017年のグッズ販売・企画広報もまた成績に足を引っ張られてしまった印象が拭えません。
例年であればフックしたであろう企画が上手く引っかかりませんでした。
「サンフレッチェ広島 Jリーグベストゴール」の募集期間が延長されたのもその一つ*14。
成績が良ければこういった企画ももっと盛り上がったはず。
試合興行を中心とするクラブ経営の難しさに直面した一年でした。
サンチェたいそうにしても、商品はいいのだからもう少し上手く普及できれば面白い。
そこで考えたサンチェキャラバンは実に面白い取り組みだったと思います。
一方で、子供だけでなくもう少し上の年齢にもフックするような施策を考えたいところ。
今後の取り組みに期待したいと思います。
それでは次回・最終回です。
スタジアムとその他の話を拾ってまとめに入りたいと思います。
最後までお付き合いいただければ幸いです。
*1:2012年度は3.4億円、2013年度は4.0億円、2014年度は4.3億円だった。第13回サポーターズカンファレンス議事録より。
*2:サンフレッチェ広島オフィシャルショップ「V-POINT」移転のお知らせ《サンフレッチェ広島 2017年3月13日付》、4月13日(木)紙屋町シャレオ東通りにサンフレッチェ広島オフィシャルショップ「V-POINT」移転オープンのお知らせ《サンフレッチェ広島 2017年4月5日付》。
*3:『G-SHOCK サンフレッチェ広島 25周年モデル』販売開始のお知らせ《サンフレッチェ広島 2017年6月13日付》。
*4:『G-SHOCK サンフレッチェ広島モデル』販売開始のお知らせ《サンフレッチェ広島 2015年5月29日付》。
*5:サンチェ卓上カレンダー 販売のお知らせ《サンフレッチェ広島 2017年2月24日付》、サンチェカレンダー(卓上タイプ)販売のお知らせ《サンフレッチェ広島 2016年3月29日付》。
*6:『ご当地マンホール サンフレッチェ広島』グッズ 販売のお知らせ《サンフレッチェ広島 2017年8月4日付》。
*7:「にぎわいステージ」パフォーマー募集のお知らせ《サンフレッチェ広島 2017年2月7日付》。
*8:2015シーズン サンフレッチェ広島ホームゲーム飲食売店 募集のお知らせ《サンフレッチェ広島 2014年11月11日付》。
*9:【情報を追加しました!】『サンフレッチェ広島 ファン感謝デー2017』のお知らせ《サンフレッチェ広島 2017年7月14日付》。
*10:なお、初回放送はおそらく2017年4月16日の横浜マリノス戦。Facebook LIVE生配信第2部 試合開始直前!中島浩司・森崎浩司による本日のゲーム見どころ、前節を振り返っての生解説《サンフレッチェ広島Facebook 2017年4月16日投稿》。
*11:結果発表:Jリーグマスコット総選挙(2017/サッカー)《Jリーグ.jp 2018年1月15日閲覧》。
*12:サンフレッチェ広島25周年記念事業“サンチェたいそう”2月25日(土)試合会場にて初披露のお知らせ《サンフレッチェ広島 2017年2月18日付》。
*13:サンチェが「第38回安佐南区民まつり」に参加《サンフレッチェ広島 2017年11月7日付》、第12回祇園・興動祭にサンチェが出演《サンフレッチェ広島 2017年11月13日付》。
*14:【投票期間を延長しました!】『あなたの選ぶ サンフレッチェ広島 Jリーグベストゴール』募集のお知らせ《サンフレッチェ広島 2017年6月30日付》。