サンフレッチェ広島 2016年通信簿(その三)
第三回はグッズ販売と企画広報について。
[Ⅵ]グッズ販売…【大変良くできました】
グッズ販売は近年のサンフレッチェ広島を支える重要な収益源となっています。
収益全体で見ても10~15%を占めており、右肩上がりの良い投資サイクルも続いています*1。
そんなグッズ販売ですが、2016年は新しいチャレンジがありました。
それがオンラインショップ「e-Vpoint」のリニューアルです。
これまでオンラインショップ「e-Vpoint」は多くの人が利用しやすい楽天市場にありました。
これはこれで便利だったのですが、サンフレッチェクラブ会員の会員割引が適用できないということについてサポーターズカンファレンスで意見が出ていました。
5.その他(森脇豊一郎企画広報部長)
《第9回サポーターズカンファレンス議事録》
質問
クラブ会員の割引を、ネットショップでも適用することは難しいのでしょうか?限定商品のクラブ会員先行予約があれば手に入りやすくなって嬉しいと思うのですが、対応は難しいでしょうか?
回答(木村運営部長)
これは以前からある課題で、現時点では、システム上対応ができません。今後、会員情報と紐付されたシステムが実現できれば、対応できると思います。
同じ商品を購入しているのに、V-pointを利用する人は会員割引を適用できて、e-Vpointで購入すると会員割引を適用できない、というのはあまり好ましい状態ではありません。
さらに、前述したようにグッズ販売が軌道に乗っていること、顧客情報の蓄積をしたい等の理由からリニューアルに踏み切ったものと思われます。
ただ、オンラインショップのリニューアルと管理にはそれなりにコストがかかっているはず。
その費用対効果については今後の報告を聞いてみたいところです。
さて、肝心のグッズ販売ですが、2016年シーズンはコラボグッズが印象的でした。
コラボグッズが安定して登場するのはブランドイメージが確立し始めている証とも言えます。
ただ、残念ながら全てを取り上げる余裕はありませんので*2、代表として、ベアフットが仲立ちしたBEAMSコラボグッズをピックアップしましょう*3。
サンフレッチェとBEAMSのコラボ。ベアフットでコーディネートしました。ロゴはIC4DESIGNにお願いしました。この企画、どんどん進化させていこうと思います。 https://t.co/PLQCZX95jp
— barefoot (@barefoot_corp) 2016年7月8日
以前から、サンフレッチェのグッズを使いたいけれどエンブレムや紫色を前面に押し出したグッズが多く、日常的には使いにくいという意見が聞こえていました。
そういう意味でもBEAMSコラボグッズはいいデザインと言えます。
2017年シーズン以降も引き続き素晴らしいグッズ開発をして欲しいですね。
この他に印象的だった商品(とそれに類するもの)を3つ列挙しておきたいと思います。
1つ目は、中央教育研究所とのコラボグッズとも言える「サントレ」。
サンフレッチェ広島の選手を起用した算数トレーニングドリルとなっています。
子供の頃から選手を身近に感じてもらえるグッズ。こういうのもいいですね。
《サンフレッチェ広島より》
2つ目として、サンフレッチェ広島クレーンゲーム機「サンフレキャッチャー」。
プローバのスポンサードゲームで、スタジアム前に設置していたのにはさすがに驚きました。
《サンフレッチェ広島より》
最後に、グッズそのものではありませんが、サンフレッチェ広島デザインのクレジットカード「サンフレッチェカード」が再登場したことも個人的には嬉しかったです。
《サンフレッチェ広島より》
サンフレッチェカードは以前も発行されていましたが*5、新規発行は出来なくなっていましたので、この機会に作ってみてはいかがでしょうか。
[Ⅶ]企画広報…【良くできました】
今回、集客関係の企画広報については独立させてその二で述べました。
したがって、本稿ではそれ以外の部分での企画広報について触れておきたいと思います。
今回取り上げたい話題は三つ。
一つ目はサンフレッチェ広島公式インスタグラムアカウントが開設されたことです。
《サンフレッチェ広島より》
サンフレッチェ広島のソーシャルメディア利用は、Facebook、Twitter、LINEに続いて4つ目。
今回インスタグラムという画像投稿型SNSにも手を伸ばすことになりました。
インスタグラムはご存じの通りSNS界でも有力なものの一つです*6。
シンプルながら、画像投稿による拡散力と若者に対する波及力は侮れません。
これでサンフレッチェ広島が手を出していない主要SNSはmixi、Google+、Tumblerくらい。
SNS利用という点では、Jクラブの中でも充実していると思います*7。
一方で、これだけたくさんのSNSアカウントを同時に管理し、しかも内容はそれぞれ違っているためコストも相応にかかっているはずです(この他にHP更新とホットメール配信もある)。
各SNSの登録者を増やすためにも運用に差を付けるのは分かります。
ただ、その煽りか、LINEアカウントの更新頻度が低いのも気になっています。
同じ情報を一斉に流して省コスト化を図っていい部分もあるのではないでしょうか。
そういったコストパフォーマンス面は今後の課題となってくるでしょう。
二つ目として、高速道路のサービスエリアでイベントの実施がありました。
広島広域公園陸上競技場は、その立地上高速利用者が多いスタジアムです。
イベント内容はシンプルなものですが、面白い試みだったと思います。
三つ目は、8月6日にクラブ史上初めてのホームゲーム開催があったことです。
日程見て、もしやと思って過去の記録を調べて、やっぱりそうだった。
— ukyo (@ukyo1616) 2016年1月28日
アウェーでは過去何試合かあったが、8月6日にサンフレッチェがホームで試合を行なうのは、J創設以来今年が初めて。
広島にとって特別な試合になる。 #sanfrecce pic.twitter.com/ZEkH02qdG1
8月6日が広島市民にとってとても重要な日であることは言うまでもありません。
サンフレッチェ広島もこの特別な日に合わせていくつかの企画を実施しました*8。
その一つが「祈りの光」の点灯。
8月6日(土)明治安田生命J1リーグ2ndステージ第7節 名古屋グランパス戦にて「祈りの光」点灯のお知らせ
《サンフレッチェ広島 2016年8月2日付》
主旨
8月6日に初めて、Jリーグ公式戦を広島で開催するにあたり、「スポーツができる平和に感謝」しながら、6本の光のアーチに鎮魂の想いを託して、エディオンスタジアム広島から広島市中心部へ届けます。なお、6本の光は、広島市の象徴でもある市内を流れる6本の川をイメージしています。
点灯場所
エディオンスタジアム広島 サポーターズシート後方から広島市内中心部(原爆ドーム)方向へ
点灯時間
8月6日(土)ハーフタイム~試合終了後
※試合終了後も、しばらくの間、点灯しておりますので、お帰りの際にもご覧ください。
私も試合会場にいましたがハーフタイムの点灯式はよく分からなかったというのが本音。
スタンドのライトが煌々としており、認識するのが難しかったからでしょう。
しかし、試合終了後にこの光は市内中心部からもよく見えたようです。
画像を見る限り、とても幻想的な光景だったのではないかと思います。
メインエントランススロープからみると、こんな風になってます!是非[祈りの光を]ご覧ください!この光は、平和公園にむかって、のびてます! #sanfrecce pic.twitter.com/JC5XgsCNzG
— 奥 大地 (@09daichi) 2016年8月6日
グランパス戦後に、平和記念公園に行ってきました。EDIONスタジアムからの光が届いてて感動した。 pic.twitter.com/UIRc41oNyB
— 384t@開幕新潟戦参戦 (@namacha1526) 2016年8月6日
広島でサッカーができる、見られる幸せをこの日ほど噛みしめられる日はないでしょう。
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広島にはたくさんのスポーツがあります。
サッカー、バレー、ハンドボール、バドミントン、ソフトテニス、陸上、ホッケー、野球。
さらにはバスケットやサイクリングも定着しつつあります。
本当に広島は「スポーツが夢で見られる街」なのです。
そのことを当たり前のことだと軽く考えるべきではありません。
戦後、先達の方々が必死に復興してくれたおかげで今の広島の町並みがあります。
スポーツ関係者の方々が努力してきたからこそ今の広島のスポーツ文化があります。
そのことを決して忘れてはならない。
そう再認識する機会としても8月6日のホームゲームは貴重なものでした。
スポーツを通して平和を考え、広島を考え、今を考える。
そんな時間が持てたことは本当に幸せなことだったと思います。
これからもそんなスポーツ文化が広島にあり続けて欲しいと心から思います。
《サンフレッチェ広島より》
*1:2012年度は3.4億円、2013年度は4.2億円、2014年度は4.3億円(見込)がグッズ収益として計上されている。第13回サポーターズカンファレンス議事録より。
*2:今回紹介できなかったコラボグッズとして次のようなものがあった。OJAGA DESINGコラボ 『キーキャップ』販売のお知らせ《サンフレッチェ広島 2016年5月2日付》、『Bianchi ボディバッグ』販売開始のお知らせ《サンフレッチェ広島 2016年9月16日付》、CRAFTHOLIC×SANFRECCE CRAFT抱き枕クッションSサイズ『RAB(ラブ)』販売開始のお知らせ《サンフレッチェ広島 2016年9月27日付》。
*3:ベアフットは、サンフレッチェ広島のOB中島浩司氏が代表取締役を務める企業。
*4:第一弾:サンフレッチェ広島×BEAMS 第一弾コラボグッズ販売決定のお知らせ《サンフレッチェ広島 2016年7月7日付》、第二弾:サンフレッチェ広島×BEAMS 第2弾コラボグッズ販売決定のお知らせ《サンフレッチェ広島 2016年9月8日付》、第三弾:サンフレッチェ広島×BEAMS 第3弾コラボグッズ販売のお知らせ《サンフレッチェ広島 2016年12月21日付》。
*5:ただし、当時のカードブランドはオリコではなくUFJニコスだった。
*6:平成27年版 情報通信白書|SNSの利用率《総務省 2017年1月24日閲覧》、【最新版】2016年12月更新! 11のソーシャルメディア最新動向データまとめ《Gaiax 2017年1月24日閲覧》。
*7:ファンサービスの一事例48《J OKAYAMA ~岡山サッカーの桃源郷へ 2017年1月24日閲覧》、J1リーグ各クラブのSNS利用状況 FCバルセロナ、レアルマドリー、などヨーロッパのビッグクラブとも比較しながら、SNSの利用状況を見ていきます《近日出荷-キンジツシュッカ- 2017年1月24日閲覧》。
*8:8月6日(土)明治安田生命J1リーグ2ndステージ第7節『広島県信用組合 スポンサードゲーム』vs.名古屋グランパス ホームゲームイベントのお知らせ《サンフレッチェ広島 2016年8月5日付》