2016年第2回 JFA理事会(16.02.18)について
[Ⅰ]協議事項
◆協議事項一覧
(01)競技中、選手に脳振盪の疑いが生じた場合の対応の件
(02)2016年度地域育成審判インストラクター契約の件
(03)日本サッカー後援会 会員表彰の件
(04)日本人指導者海外派遣の件
◆(01)競技中、選手に脳振盪の疑いが生じた場合の対応の件
2016年度JFA第2回理事会を開催
《JFA 2016年2月18日付》
日本サッカー協会(JFA)は本日(2月18日)、2016年度第2回の理事会を開催しました。
本理事会では、JFAが主催する日本代表の試合およびJリーグの試合における脳震とうの対応について協議し、承認されました。脳震とうの対応はすでにFIFA(国際サッカー連盟)やAFC(アジアサッカー連盟)においても導入されており、これにより、競技中に選手が頭頸部を強く打った場合、主審の判断によって速やかにチームドクターをピッチ内に呼び、最大3分間の診断を行うことなどが可能となります。
上記の通り、第2回理事会では脳震盪があった場合の対応について協議しました。
折角なので手順について簡単に見ておきましょう。
2016年度JFA第2回理事会 協議事項関連資料No.1①
《JFA 2016年2月18日付》
【手順】
①競技中、選手が頭頸部を強く打ったと主審が判断した場合、主審はすみやかに当該選手のチームドクターをピッチ内に呼び、チームドクターは診断をする。主審の判断、またはチームドクターからの要請を受けた主審により、ハードボードの担架を適宜ピッチに入れる。
②チームドクターは、当該選手に脳振盪の疑いがある場合、自分の拳を頭の上に乗せ、主審に「脳振盪の診断を始める」旨伝える。
③それにともない、主審は時計の計測を始め、最長3分間を診断の時間として認める。
④チームドクターは、脳振盪評価用紙(Pocket SCAT2)等を使用するなどし、適切な診断を行う。
⑤早くに診断が終わった場合にはその時点で試合再開とする。3分間を超えても診断が終わらなかった場合、主審は当該選手を一旦ピッチ外に出し、プレーを再開させ、チームドクターは引き続きピッチ外で診断を行う。
⑥主審は、チームドクターの許可がある場合に限り、選手が競技に復帰することを認める。
⑦主審は、脳振盪の診断のために使用された時間を把握し、その時間を通常のアディショナルタイムに追加する。なお、脳振盪と診断された選手は、脳振盪からの復帰プログラム(表1)にもとづき、段階的プログラムを組んで復帰するようにする。
重要なポイントが大きく2つ。
脳震盪の診断をまずピッチ上で行うこと、そして主審はその診断のために最大3分間時計を止めることができるということが明確にされた点です。
それまでJリーグで使用されていた指針は「サッカーにおける脳振盪に対する指針」というものでしたが*1、この指針をさらに具体化したのが今回の脳震盪対応なのでしょう。
まずは日本代表とJリーグの試合でこの対応を導入するそうです。
チームドクターがいてこそという事情があるので少しずつ拡大することになるのでしょう。
それ以外の大会については従来通り「サッカーにおける脳振盪に対する指針」によります。
2016年度JFA第2回理事会 協議事項関連資料No.1①
《JFA 2016年2月18日付》
競技中、選手に脳振盪の疑いが生じた場合の対応についてFIFA(国際サッカー連盟)では、選手の安全を守るため、2014年9月の理事会にて、競技中、脳振盪の疑いが生じた選手への対応につきまして、次のようにあらたな手続きを行う施策を決定いたしました。
本対応は、FIFA、AFC(アジアサッカー連盟)をはじめ、諸外国でもすでに採用されているものであり、競技中の選手の安全を守り、サッカーの価値を高めるものになるものと思料いたします。本対応は、短時間での脳振盪の診断をするという専門性が高い行為であることから、本協会主催試合としては、まずはチームドクターが必ず帯同している日本代表戦およびJリーグの試合(トップチーム)で導入することとし、今後、環境が整った後、他大会での導入を検討してまいります。
しかしながら、対象試合以外の競技会におかれましても、脳振盪の疑いが生じた選手の対応につきましては、従来通り、「サッカーにおける脳振盪に対する指針」にもとづき、チーム、審判員、競技会運営者との協力により、細心の注意を払って対応をし、決して無理をしてプレーを継続させることのないようご注意下さい。
なお、日本サッカー界は脳震盪について積極的に取り組んできている団体だと思います。
他にラグビー、柔道、高野連、水泳などの諸団体も取り組んでいるようですが、指針を作って周知する姿勢は評価されるべきでしょう*2。
最後に、Pocket SCAT2について簡単に。
資料2で掲載されているのはPocket SCAT2の簡易版ともいうべきものです。
《JFA 2016年度JFA第2回理事会 協議事項関連資料No.1②より》
こういったポイントに従って診断をすることになるようです。
広島サポーターにとって脳震盪は他人事ではありません。
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幸い増田卓也も富山貴光(現サガン鳥栖)も大事はありませんでした。
しかし、運が悪ければ大事になっていた可能性もある話。
指針が改善されていくことは歓迎すべきことですし、我々もアンテナを高くすることが大事なことだと思います。
[Ⅱ]報告事項
◆報告事項一覧
(01)会長予定者選出の件
(02)役員等推薦委員会 委員の件
(03)大会役員 国際試合への派遣の件
(04)名義使用申請の件
(05)文京区「パラリンピック機運養成事業~ブラインドサッカーの普及振興~」協力の件
(06)海外遠征申請の件
(07)JFAロングパイル人工芝ピッチ公認(更新)の件
(08)JFAロングパイル人工芝ピッチ公認(新規)の件
(09)2015年度新規1級審判インストラクター認定の件
(10)JFAフットボールレフェリーカンファレンス2016の件
(11)JFAレフェリーキャラバン2016実施の件
(12)2015年度ゴールキーパーC級コーチ養成講習会 追加合格者の件
(13)2016年度ゴールキーパーB級コーチ養成講習会 合格者の件
(14)U-23日本代表 AFC U-23選手権直前キャンプ及び本大会の件
(15)U-18日本代表 第28回バレンティン・グラナトキン国際フットボールトーナメントの件
(16)日本女子代表候補トレーニングキャンプの件
(17)フットサル日本代表 トレーニングキャンプ及び国際親善試合の件
*1:2012年3月1日に「Jリーグにおける脳振盪に対する指針」を作成し、Jリーグだけでなくサッカー界全体に周知を図るため、2014年11月17日に「サッカーにおける脳振盪に対する指針」として再作成した。サッカーにおける脳振盪に対する指針《JFA 2016年2月21日閲覧》
*2:他の競技団体の脳震盪に対する取り組みについては、日本スポーツ振興センターが作成した「学校の管理下における体育活動中の事故の傾向と事故防止に関する調査研究」-体育活動における頭頚部外傷の傾向と事故防止の留意点- 調査研究報告書の資料編「各競技団体の事故防止の取組」を参考にした。