2016年第1回 JFA理事会(16.01.21)について
[Ⅰ]協議事項
◆協議事項一覧
(01)臨時評議員会開催の件
(02)会長候補者リストの件
(03)役員等推薦委員会 委員選出の件
(04)日本人指導者海外派遣の件
(05)9地域FA公益目的事業活動支援金の件
(06)シニア大会部会員 交代の件
◆(01)臨時評議員会開催の件
2016年度JFA第1回理事会を開催
《JFA 2016年01月21日付》
会長選挙においては、「理事会は、会長選定を行うべき年の1月の理事会において、選出管理委員会から提出された会長候補者リストに基づいて、理事により投票された者のうちから、1名を理事会からの会長選出すること」が規程(「役員の選任及び会長等の選定に関する規程」)で定められています。
今回の理事会では、会長予定者選出管理委員会から、JFA副会長の田嶋幸三氏が19票、専務理事の原博実氏が9票を獲得したことが報告され、理事会からの会長候補者として田嶋氏を選出することが承認されました。また、両氏ともに、評議員7名以上の推薦を得たこと、会長候補者となる意思確認と要件審査を終えたことも報告されました。これをもって会長候補者の告示とし、1月31日の13:00までが選挙活動期間となります。
31日の臨時評議員会では、「次期会長予定者」が選出され、3月27日の新役員による第1回の理事会で正式に新会長が決定することになります。
日本サッカー協会会長選の話題が日に日に増しています。
年明けに朝日新聞が立候補者2名にインタビューをしていました*1。
Jリーグファンとして一番気になるシーズン移行について両者は以下のように述べています。
日本サッカーどうする JFA会長選出馬表明2氏に聞く
《朝日新聞 2016年1月5日付》
――シーズン移行について原さんの考えは。
原 検討しているが、Jリーグ事務局やJリーグの各クラブ、地方の関係者の方からは、開催時期を変えれば解決する問題ではないと聞いている。北国では1月に試合ができない。2月も難しい。今のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の日程のまま、Jリーグが夏開幕に移行すると、ACLの1次リーグがJリーグの終盤と重なり、決勝トーナメント進出が難しくなるという議論がJクラブにはある。
田嶋 アジアサッカー連盟はACLの日程を変えようとしている。私の考えでは、1、2月はJリーグの試合をやらない。スタジアム、練習場、駐車場の融雪装置などの整備も行政と協力して進めていきたい。今のままでは11月、リーグが佳境の時期に、日本代表の試合が入ってしまう。それが問題だ。夏開幕に移行すれば、日本代表の活動がない4~5月にリーグ最終盤を迎えられる。オフになる7~8月に日本代表の練習時間を確保できる。東京五輪に向けた強化のためにも、2019年にシーズンを移行させるのがいい。日本代表にもJクラブにも利点がある。
また、会長選が告示された22日に開催されたシンポジウムでは次のように発言しました*2。
日本サッカー協会会長選告示 田嶋氏と原氏がシンポ参加
《朝日新聞 2016年1月22日付》
――シーズン制の移行については。
田嶋「十数年前から欧州に合わせるべきだと思ってきた。理由は移籍がスムーズになることと、国際サッカー連盟(FIFA)が2024年までのインターナショナルマッチデーを出しているが、9月10月11月に必ず2試合ずつのマッチデーが入ってくる。つまりいまのJリーグの日程だと最後のところが代表の試合でぶつ切りになってしまう。逆に4月5月にはマッチデーが一切ない。Jリーグの盛り上がるところが使える。東京五輪の強化を考えたら、7月とかに強化できるメリットができる」
――原さんはシーズン制の移行に慎重です。
原「問題なのはAFCのカレンダーが決まらないこと。検討した中で一番の問題は、ホームグラウンドが自前じゃないこと。自治体との交渉で決まる。12月までに、J1にいるかJ2にいるかわからない来年秋からのカレンダーを決めなきゃいけない。グラウンドを押さえられない。北国の人たちに聞くと、試合会場より練習環境が大事。練習環境をドーム形の練習場にするとか検討はしている」
このように、田嶋氏はFIFA理事を務めているためかシーズン以降に積極的。
逆に、原氏はJリーグの監督を務めたこともあってかシーズン以降に消極的。
というような構図となっています。
以前も書いたように、JFAが移行を主張したから移行するというものではありません。
しかし、選挙結果がJリーグに影響を与えることもまた間違いないでしょう。
◆(02)会長候補者リストの件
田嶋氏が19票、原氏が9票を獲得し、田嶋氏が理事会推薦を受けることになりました。
田嶋氏も原氏もすでに評議員の推薦を受けて立候補は可能な状態でした。
それならば理事会の推薦は必要なのかという気もしますが、必要です。
日本サッカー協会の会長選に立候補するためには2つの方法があります。
1つが理事会の承認を受けること、もう1つが評議員の推薦に基づき選出されること*3。
ここで、評議員の推薦を受けた甲氏・乙氏、推薦のない丙氏が出馬表明したとします。
甲氏と乙氏は推薦があるため理事会推薦は不要。
一方、乙氏は理事会の推薦がなければ会長候補者になることはできません。
したがって理事会投票が必要となるわけですが、この理事会投票は甲氏と乙氏も当然対象。
甲氏と乙氏の得票内訳も分かってしまうことになります。
評議員推薦を受けた人がいる選挙といない選挙で手法が変わるのは望ましくありません。
そういうわけで、評議員推薦を受けていない人がいなくても理事会投票が必要。
こういう考え方ではないでしょうか。
一方で、この理事会投票が選挙に影響するという指摘もあります。
サッカー、理事会は田嶋氏擁立へ 協会会長選
《共同通信 2016年1月21日付》
日本サッカー協会の田嶋幸三副会長 日本サッカー協会で21日に開かれる理事会が、次期会長候補者として田嶋幸三副会長(58)を擁立することが20日、明らかになった。31日に実施される初の会長選挙には原博実専務理事(57)も立候補しているが、複数の関係者によると6日に締め切られた理事28人の投票で田嶋副会長への支持が上回ったという。
会長選では理事に投票権はないが、理事会の決定は評議員75人による投票にも影響を与えるとみられ、田嶋副会長に優位に働く可能性がある。
理事会の構成メンバーと評議員会の構成メンバーは少し異なります。
理事会におけるJリーグの影響力は約10%*4、対して評議員会では約25%*5となっています。
理事会の影響と構成メンバーの変化がどれだけ選挙に影響を与えるか。
依然として開票されるまで結果は不透明なままなのではないでしょうか。
日本サッカー協会 次期会長選告示 候補に田嶋氏、原氏 31日に投票
《毎日新聞 2016年1月22日付》
都道府県協会の47票が結果左右
日本サッカー協会初の会長選は、国内スポーツ団体では例のない公開された形での選挙戦として注目される。理事投票では田嶋氏が推されたが、投票結果に直結する評議員75人の3分の2近い47票を持つ都道府県協会代表票の行方は流動的だ。
投票は今月31日です。
[Ⅱ]報告事項
◆報告事項一覧
(01)会長候補者リストの件
(02)FIFAクラブワールドカップの件
(03)Jリーグ報告の件
(04)海外遠征申請の件
(05)標章使用申請の件
(06)JFAロングパイル人工芝ピッチ公認(更新)の件
(07)審判員海外派遣の件
(08)海外指導者資格審査の件
(09)2015年度 S級コーチ養成講習会判定結果の件
(10)JFAエリートプログラムU-13 JOC日韓競技力向上スポーツ交流事業の件
(11)2015年度 ゴールキーパーC級コーチライセンス判定結果の件
(12)2016年度 S級コーチ養成講習会受講者の件
(13)JFAエリートプログラム 女子U-13 韓国遠征の件
(14)中学校女子サッカー部フェスティバル【2015年度・後期】の件
(15)U-15日本女子選抜トレーニングキャンプの件
(16)ナショナルトレセン女子U-14の件
(17)U-22日本代表 カタール・UAE遠征の件
(18)U-22日本代表 トレーニングキャンプの件
(19)U-18日本代表 イングランド遠征の件
(20)U-18日本代表候補 トレーニングキャンプの件
(21)U-15日本代表候補 トレーニングキャンプの件
(22)U-18フットサル日本代表候補 トレーニングキャンプの件
(23)ユニバーシアード日本女子代表 チャイニーズ・タイペイ遠征の件
◆(03)Jリーグ報告の件
Jリーグから観客数や収容率の変化についての資料が提出されました。
《2016年第1回 JFA理事会報告事項 関連資料No.2より》
リーグ戦は増加していますが、ナビスコカップが減少しているのがちょっと気になります。
◆(09)2015年度 S級コーチ養成講習会判定結果の件
2016年度JFA第1回理事会を開催
《JFA 2016年01月21日付》
また、藤代隆介氏と宮本恒靖氏がS級コーチとして認定されたことも報告。これにより、S級コーチライセンス保持者は429人となりました。
*1:全文は、【全文掲載・前編】注目のJFA会長選へ――原専務理事、田嶋副会長が語る日本サッカー界の明日《サッカーキング 2016年1月24日付》、【全文掲載・後編】注目のJFA会長選へ――原専務理事、田嶋副会長が語る日本サッカー界の明日《サッカーキング 2016年1月24日付》。他に【日本サッカー見聞録】次期JFA会長候補がシンポジウムで討論《超ワールドサッカー 2016年1月22日付》、田嶋幸三vs原博実-JFA会長選挙を読む(その1)《Qoly.jp 2016年1月25日付》などを参照。
*2:シンポジウムに関する記事として、【日本サッカー見聞録】次期JFA会長候補がシンポジウムで討論《超ワールドサッカー 2016年1月22日付》、
*3:役員の選任及び会長等の選定に関する規程 第4条第1項。
*4:理事会は、会長1名、副会長3名、専務理事1名、常務理事5名、理事18名の総勢28名(他に監事2名と特任理事9名がいるが投票権はない模様)で構成されており、Jリーグ関係者は村井満チェアマン(副会長)、中野幸夫専務理事(常務理事)、大河正明理事(理事)の3名がJリーグ関係者。
*5:評議員会は、各都道府県のサッカー協会の代表47名、J1クラブの代表18名、Jリーグなど代表組織10名の計75人で構成されており、J1クラブの代表18名とJリーグ代表の松尾裕管理統括本部長1名の全19名。選手会代表を加えれば20名がJリーグ関係者。