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la vie en violette

サンフレッチェとサッカーに染まった日々

【修正中】第10回サポカン ~「スポンサーシップ」から「パートナーシップ」へ~

第8回第9回に続いて第10回目のサポカンについて振り返っておきたいと思います。
第10回サポカンについてはサンフレッチェ会さんが総括しておられるので、そちらもご紹介

【参考】
第10回 サポーターズカンファレンス議事録①
第10回 サポーターズカンファレンス議事録②
サンフレッチェ会 2013年2月21日閲覧》


今回の副題はJリーグニュースプラスVol.11から。
クラブとスポンサーの関係に着目して第10回サポカンを見てみましょう



第10回サポカン議事録を見てみる
まずは議事録に目を通してみましょう。
第10回は成績、戦力、そして経営に関する注目が高かったため運営関係は少なめでした。
今回ピックアップするのは、その他からスポンサーに関する質疑応答

5)その他 : サポーターズ・カンファレンス議事録
サンフレッチェ広島 2013年2月21日閲覧》

質問
 ありがとうございました。地域に根ざすスポンサーをというのをおっしゃっていただいて、私個人としても嬉しいです。一つだけあえて加えさせていただくとすれば、お願いなのですが、企業とのタイアップは非常に良いことなのでぜひやってほしいです。もしできるのであれば、サンフレッチェがスポンサーとスポンサーのハブという形ですね。サンフレッチェと対スポンサーではなく、スポンサーを結ぶサンフレッチェという位置づけで模索を続けていただければと思います。
 
回答(小谷野社長)
 今のご指摘は私も重要だと考えております。スポンサー様がスポンサーシートおよびVIP席にいらした時に、スポンサー同士を紹介や仲介を手がけていて、「サンフレッチェのスポンサーになるといろんなメリットがある」と感じていただけるようになると良いと思います。実は新スタジアムの議論とも絡んでくるのですが、最新のスタジアムはいわゆるホスピタリティゾーンというのがあって、地元の名士の方々や長年チームに貢献されてきたボランティアの方々が集まるゾーンやスペースがあります。そこで新たな地元のつながりというのも、作っていく形になっています。複合機能もそうですし、スポーツスタジアムそのものとしても重要な機能だとわれわれは考えております。スタジアムでも少しずつ実践をやっていきたいと思います。


ここで提案されているスポンサーにとってのハブ機能という視点は大変重要です。
実際に、近年この考え方は他クラブでも注目され始めています


<一昔前までスポンサーは広告宣伝効果に注目していた>
スポンサーシップ1

画像にするほどではないですが、従来のスポンサーとの関係は基本的にクラブとの1対1。
クラブ単体の価値(主に広告宣伝効果)に投資意義を見出すシステムでした


<Jクラブにとって広告料収入は生命線である>
ここで、Jリーグ公式サイトの営業収入内訳の推移(2011年時点)を見てみましょう

クラブ経営状況2011 営業収入内訳の推移_01
Jリーグより)

広告料収入は営業収入のおおよそ45%~55%で推移しています。
広告料を如何に確保するかがクラブにとっての至上命題と言っても過言ではありません

一方で長引く不況、リーマンショック等々によりスポンサー確保が難航していると聞きます。
従来のやり方だけでは、企業はこちら側を向いてはくれません


<近年スポンサーはCSR活動を重視している>
少し話が変わりますが、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科の大西孝之氏が2009年に発表した「スポーツ・スポンサーシップにおける企業の社会的責任: CSR の知覚の先行要因と結果要因」という論文があります

この論文では、J リーグクラブのユニフォーム・スポンサーに対して調査を行っています。
結果、スポンサーシップ目標で平均値が最も高かったのは「社会貢献・地域貢献」
以下、「社会・地域への責任」、「ブランド・ロイヤルティの向上」、「気づき・認知度の向上」、「イメージの改善と向上」と続いています

近年では、クラブを媒介としたCSR活動としてのスポンサーシップが主流となっているようです。
広告効果だけではなく、地域社会への貢献という視点が追加されたのは必然と言えるでしょう。
Jクラブは全国30都道府県に存在しており、地域社会との関係性を訴えるのに便利な存在です


<これからはスポンサー同士の関係に注目!>
しかし、CSRというものは企業ごとに認識の違いがあるものです。
当然力の入れ方も違いますし、それだけでスポンサーを確保するのにも限度があります

スポンサーシップ2

そこで近年重要視され始めているのがスポンサー同士の関係なのです。
本来、なかなか交流の持てない企業同士がクラブを媒介とすることで関係を構築する。
そのメリットが目に見える形となれば新しいスポンサーの獲得にも大きく貢献するでしょう



スポンサーにとってのハブの事例
スポンサーにとってのハブ機能として実際にあった事例としては鹿島アントラーズが有名です

鹿島のホームタウンである鉾田市で『ちゅう太郎』というトマトジュースが販売されていました。
この商品を更にPRするために、鹿島のスポンサーであるサントリーに打診。
ちゅう太郎』と『ザ・プレミアム・モルツ』を合わせた『レッド愛』というカクテルが完成です

【参考】
JリーグニュースプラスVol.13(pdf注意)

《Jリーグ 2013年2月21日閲覧》


評判を色々見て回ったのですがおおむね好評の様子。
何より、ちゅう太郎ザ・プレミアム・モルツの値段を考えると破格です(500円)。
今度観戦に行ったときは必ず飲んでみるつもり

00048772-B
J's GOALより)

他にも鹿島ではスポンサー同士の取引促進も行っています。
具体例としてあげられているのがトステムイエローハットの事例。
関東経済産業局の調査に詳細が載っていますので、興味がある人はどうぞ

平成21年度地域中小企業活性化政策委託事業スポーツビジネスを核とした地域活性化フィジビリティ調査
《関東経済産業局 2013年2月21日閲覧》

  スポンサーに提供できる価値はスポーツチームに内在したものだけではない。実は、スポンサー同士がお互いにとっての価値を生み出す源泉になっていくのである。具体的には、スポンサー同士の交流促進、さらには取引促進である。つまり、スポーツチームがスポンサー同士のビジネスを「仲介」するのだ。仲介といっても、取引の間に入るわけではなく、場・機会・情報の提供である。スポンサー同士のビジネスに貢献することで、自チームを応援してくれるメリットを演出していくという高度なマネジメントである。


また、折角なのでサンフレッチェにもこういった事例がないか調べてみました

サンフレッチェの手摺広告スポンサーである三共ディスプレイ。
そのホームページ上でEDION CI変更工事がショップ実績としてあげられています。
工事内容は、デオデオからエディオンへの店名変更に伴うサイン工事というもの。
共にサンフレッチェのスポンサーであり、一つの「スポンサーにとってのハブ」だと考えられます

調べられていないだけでサンフレッチェが関わっている事例は他にもあるかもしれません


③ビジネスクラブ
スポンサーにとってのハブ機能の1つとして「ビジネスクラブ」というものがあります。
「ビジネスクラブ」とは、サポカン議事録であったホスピタリティゾーンでの活動のようなもの。
スポンサー同士が関わり合いを持つ場のことです

この「ビジネスクラブ」を設立するJクラブが最近見受けられます。
このビジネスクラブについては大宮アルディージャが最も有名でしょうか

大宮アルディージャのビジネスクラブ=ABCは2008年設立。
アルディージャとそのスポンサー(年間50万円以上)で構成されています。
懇親会だけでなく「ごみゼロの日 大宮クリーン大作戦」などの活動も実施しているようです

JリーグニュースプラスVol.11(pdf注意)
《Jリーグ 2013年2月21日閲覧》

 山下本部長は、「従来のスポンサーセールスは、看板1枚がいくら、という金額交渉が中心だった。それを180度変え、『看板を買ってください』ではなく、『ぜひABC会員に加わってビジネス交流を行い、アルディージャと共に地域を元気にしていきましょう』というメッセージにしていった」と話す。
JリーグニュースプラスVol.11(pdf注意)
《Jリーグ 2013年2月21日閲覧》

 「せっかく何か購入するならABC会員企業の商品にしよう」という想いがシナジーを生む。贈答品なら髙島屋へ、社員旅行はJTBに依頼しよう……といった具合である。ある社長は、自宅の建設をABC会員であるパナホームに依頼したという。


このように、従来のスポンサードではなくスポンサー同士の関係、一体感を重視。
それによって前項の取引や商品が生まれたり、シナジーを期待できるというわけです

サンフレッチェでも感謝の夕べ励ます会を開催していますが、一体感とは異なるでしょう。
こういった視点でスポンサーを巻き込んでいくことも重要ではないでしょうか



④終わりに
今回はこのようにスポンサーとの関係に着目してみました。
広告宣伝効果、CSR活動の一環、そしてスポンサー同士の関係。
スポンサーを獲得するためには幅広い視点が必要です

先ほど取り上げた「スポーツ・スポンサーシップにおける企業の社会的責任: CSR の知覚の先行要因と結果要因」という論文によると、「販売業者との取引の促進」は13位、「スポンサー間のネットワークの形成」は19位でした

この視点でのスポンサー獲得はまだまだこれからだと言えます


ハブとは、ネットワークの中心、中枢、拠点という意味です。
スポンサーにとってのハブになるとは、すなわちクラブが地域社会の中心になるということ。
地域にとってなくてはならない存在になるということです

小谷野社長は第10回サポカンで、地元企業の深堀り戦略を目指すと発言しました。
決してスポンサー料を支払うのも楽ではない時代。
クラブ、スポンサー、そして地域がwin-winな関係を築けるよう努力すべき時代になっています


最後に。
サポーターとしてするべきことはいたってシンプル

折角何か購入するならスポンサーの商品にしてみようかな

まずはそこからでしょう